2008年06月25日

原油価格はなぜ上がるのか(中学生向け)

妻にちょっと使いたいから、分かりやすく説明してと言われたので書いてみました。

私たちの身の回りにあるもののほとんどに石油製品が使われています。例えば車を動かすためのガソリン、電気を作るためのエネルギー、ビニール袋やプラスチック製品、などなど大抵のものに何かしら石油が使われています。その石油の元となるのが原油で、最近原油の価格高騰がとても問題になっています。

原油の高騰を考えるときにまず大前提として考えなければいけないのは、原油には限りがあるということです。原油は地面の奥底で長い間かけて自然に作られ、私たちはそれをくみ上げて使っています。でも地下に埋まっている原油には限りがあり、私たちには新たに作り出すことはできないし、自然にできるには非常に長い年月を必要とします。つまり私たちは今ある原油を少しずつ有効に使わなければいけません。

原油は今まで日本やアメリカ、ヨーロッパの国々などそのほとんどが先進国で消費されてきました。しかし最近になって中国やインド、ブラジルなど今までそれほど石油を使っていなかった国々が新たに発展してきて先進国と同じように石油を消費するようになってきました。これら新たに発展してきた国々(新興国)の需要の増大により、限りある資源である石油を消費するペースが急激に速くなってきました。

少ししか無い石油をたくさんの人が欲しいと言って取り合いになることによって、地下に石油がある産油国は高い値段で売るようになるし、この先も石油価格が値上がりすると思って、早めに買い占めておこうという人たちも現れます。そしてそれが繰り返されてどんどん石油の値段が上がっていってしまうのです。

その値上がりのペースがここ2~3年で急速にペースアップしてきました。中国やインドなどの経済成長がどんどん進み、自動車や家電製品を所有する人が急増してきました。省エネの製品も開発されていますが、その効果をはるかに上回る勢いで消費が増えています。先進国の人口に対して新興国の人口は倍以上あり、これらの人々が先進国並みにエネルギーを消費するようになったと思うと、この先も消費が増えていくことは誰の目にも明らかです。エネルギー源を石油だけに頼らず、植物から作られるバイオエタノールも利用しようという動きもありますが、これが裏目に出て食料品の価格を高騰させてしまっています。

さらに新興国の発展により、これらの国々に商品を売り込む先進国の経済も順調に拡大を続け、世界中で経済発展が進んでいきます。経済が拡大すれば、働く人の給料も増え、ものの値段(物価)も上がります。会社も大きくなり、株式会社の株(企業の価値)も上がっていきます。この物価の上昇と株価の上昇がただでさえ高くなっている原油価格に追い打ちをかけて、異常なほどの価格高騰を引き起こしているのです。

株を買ったり売ったりすることができるのは、誰でもなんとなく知っていると思いますが、原油などの資源や食料も株と同じように、将来買う値段を決めて買ったり売ったりできます。この制度が買い占め的な動きにつながっています。

例えばガソリンが今170円ぐらいですが、来年200円になってると思えば現時点で「180円で買います。」と言っておけば20円分儲けることができます。もちろん来年200円ではなくて150円になっていれば30円分損してしまうので、高い値段をつければいいという訳ではありません。しかしみんなが今後も値段が上がり続けると思っていれば、取引される将来の価格はどんどんつり上げられ、それによって現在の価格も同じぐらい上がってしまうのです。

でも、実際の価値以上に値上がりを続けるのは不自然なことであって、値段がす高すぎて買えないもしくはそんなに高いなら要らないという人が増えてくれば、つり上げられた価格から本来の自然な価格へと下落することになります。昨年、その動きがアメリカで原油などの資源ではなく、株や土地の価格に先に起きました。多くの人が上がりすぎた株や土地を売ったため、株や土地の価格が急落し、その動きが世界中に広がって同じように価格が下がりました。

銀行や人からお金を借りて投資をしている人も多く、借りたお金を返せない企業や人が急増することが予想されたため、アメリカやEU政府は大量にお金を貸出ました。そのため市場にはお金があふれ、次に下落するはずだった原油や食料を買う動きに向かいました。株や土地の価格が上がらない分、原油や食料にお金が集中してしまい、信じられないくらいの急上昇につながったのです。

原油や食料が株や土地と違う点は、値段が高くなっても買わなければいけないということです。私たちの生活には車が不可欠でガソリン代が200円、300円になっても使わなければいけないし、食料に関して言えばたとえいくらになっても食べないと生きていけないので買わないといけません。もちろんその量は減るのですが、急に減らすことはできず、株や土地をように値段が下がりづらいのです。

原油や食料の値段を下げるには話し合いでルールを作って規制するか、世界中が大不況になるしかありません。もちろん前者の方が良いので話し合いで解決をしようとしているのですが各国それぞれに言い分があってうまくまとまりません。そうなれば後者の不況になる動きが自然に進むわけですが、なんとかその前に解決の道を見つけて欲しいものです。



長くなり過ぎました。しかもちょっと難しすぎるか…。まだ説明を省いたところもたくさんありますが、それだけ複雑だということかな!?それともまとめる力が無いだけ!?


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この記事へのコメント
すごく勉強になりました! (^^;)
おバカな僕でも分かりやすかったですよ~
 中学生向けでよかった・・・・ 

石油製品が値上がりする = 材料代(塗料等)も上がる・・・・・・
去年から何回価格改定が有った事やら! ( ̄。 ̄;)
Posted by 板金屋板金屋 at 2008年06月26日 23:21
板金屋さん>

文章力に自信がないので、そう言ってもらえるとよかったです。
自動車業界も原油高の影響を受けやすいですよね~
昨日も最高値更新しました。おそらくこれが最後の上昇となり
いったんは落ち着きを見せると思います。
Posted by ハチハチ at 2008年06月27日 17:42
ハチ夫さん はじめまして

ハチさんには ジムでいつもお世話様になっています!!!
すばらしい文章読ませていただきまして
正に、今の経済状況を的確に捉えて本当に上手にまとめあげています
中学生はどうか分かりませんが一般人なら
読んで頭の整理が出来たと思います
ありがとうございました OK
Posted by バンダ~ナ at 2008年06月29日 09:09
バンダ~ナさん>

はじめまして。こちらこそいつも妻がお世話になっています。
レッスンから帰ってくるといつも楽しそうにバンダ~ナさんをはじめ、皆さんの話をしてくれます。先日はレッスン途中に熟睡してしまったそうで…(笑)
妻がもうすぐレッスンには出られなくなってしまいますが、復帰したらまたかわいがってあげてくださいね。
Posted by ハチ at 2008年06月29日 22:25

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原油価格はなぜ上がるのか(中学生向け)